相談しやすくなるツール もの忘れ編

あれ?もしかしたら認知症なのかな? となんとなく思っていながらも、歳のせいもあるしね~と判断するのを先延ばしにしたり、相談しようにも何をどのように伝えていいのかがわからなかったりしませんか?
いざ診断というときには、質問式のMMSEや長谷川式簡易知能評価スケールなどが広く用いられますが、診察・診断につながるまでが難しい初期の状態です。ご本人に質問を投げかけるのではなく、介護者から見た本人の姿や様子を評価する、観察式のスクリーニング検査もあります。
観察式を用いることで、ご本人の抵抗をうけることなく、「あれ?なんとなく心配」を「具体的にどんなことが心配」にかえて、しっかりと伝えていくことができます。
代表的なツールをご紹介します。必要に応じて、アセスメントやご相談の際にご活用ください。
DASC-21(Dementia Assessment Sheet in Community-based Integreted Care System)
DASC-21(ダスク-21)は,簡単で短時間に「認知機能」と「生活機能」の障害を評価することが可能です.また,暮らしに密着したわかりやすい項目であることから,認知症の疑いがある方やご家族にも理解しやすく,認知症の人を支援する専門職とご本人や家族との「共通言語」として広く活用することが可能です.
DASCの特徴は、認知機能と生活機能を総合的に評価することができ、軽度認知症の生活機能障害を検出しやすい点、4件法で評価しているために障害の機能変動をカバーできる点などです。
※原則として,粟田主一先生の研修を受けた専門職が,対象の方をよく知る家族や介護者に,対象の方の日常生活の様子を聞きながら,認知機能障害や生活機能障害に関連する行動の変化を評価する尺度です。
評価方法は以下の通りです。
①合計点により数量化して判定する方法
項目1から18までの回答番号の合計点を求め(項目19から21は計算に加えない)、29点以上で認知症の可能性ありと判断
②認知機能障害と生活機能障害のパターンから視覚的・図形的に判定する方法
1、回答項目9と10の間に横線を引きます(項目1~9までが「認知機能障害」10~21までが「生活機能障害に該当」)
2、4段階評価(1点、2点、3点、4点)のうち、1点と2点を正常行、3点と4点を障害域とみなして判定するので、2点と3点の間に縦線を引きます。
右上と右下に一つ以上チェックが入れば、認知症の可能性があると判定されます。
上記を満たしたうえで、
・項目3:遠隔記憶 項目5:場所の見当識 項目9:社会的判断力 のいづれかが縦線の右側
・項目16から21:身体的ADL のどれかが縦線の右側
にある場合、中等度以上の認知症の可能性があると判断されます。
◆DASC21公認シート(PDF)
BPSD+Q/BPSD25Q 認知症困りごと質問票
25項目の認知症の行動・心理症状の状態とせん妄2項目を数値化します。主にBPSD(周辺症状)の状態を数値化し、ケアにかかわる人達の間で共有することで、適切な対処につなげていきます。
BPSDについて今の状態が「過活動性BPSD」「低活動性BPSD」「生活関連BPSD」なのか、もしくは「せん妄」なのかを評価することができ、状態をっ泊したうえで、ケアの方法を考えることができます。また、ケアの前後の点数を比較することで、状態の改善、悪化、維持を確認することができます。
使い方:認知症の対象者のことをよく知る介護者などが、対象者の過去1週間の状態について思い出しながら、重症度と負担度で評価します。点数が高いほど重度となります。
◆認知症困りごと質問票(BPSD+Q/BPSD25Q)解説と質問票(PDF)
ものわすれ連絡シート
宇治久世医師会と宇治市との共同制作された「ものわすれ連絡シート」を、相談シートとして整えました。利用者基本情報等、患者/利用者さんの情報と合わせて、「もの忘れについて」の情報提供用紙としてご利用ください。
使い方:患者をよく知る介護者などが、あてはまる症状にチェックを入れます。
シート上部は、患者の症状をチェックすることで、認知症の診断だけでなく、原因疾患が浮かび上がる診断ツールとなっています。A欄に☑が多い場合:アルツハイマー型認知症 B欄に☑が多い場合:脳血管性認知症 C欄に☑が多い場合:レビー小体型認知症 D欄に☑が多い場合:前頭側頭型認知症 の可能性が高いということになります。
下部は認知症の進行度や重症度が評価できる機能があります。上段が軽度、中段が中等度、下段が重度です。一番下の☑の位置がその方の重症度候補になります。